ピエリ守山がV字回復できた理由
- LAPIN PDG
- 2025年12月21日
- 読了時間: 3分

〜コストをストーリーに変換〜
かつて「明るい廃墟」としてインターネット上で大きな話題となった滋賀県のショッピングモール「ピエリ守山」。一時は存続すら危ぶまれた同施設が、なぜ奇跡的な復活を遂げることができたのか。
ビジネスの視点から、その再建戦略を3つの主要な要因で解説します。
1. 「負の遺産」を逆手に取った逆転の広報戦略
ピエリ守山の復活において最もユニークだったのは、自らの自虐的な状況を隠さず、むしろ強力な認知獲得のフックとして利用した点です。
・「明るい廃墟」というブランド
ネット上での盛り上がりを無視せず、リニューアル時には「ピエリ守山、生きてた」といった自虐的なコピーを採用。
・期待値のコントロール
最底辺の状態をあえて見せることで、その後の「普通に営業している」状態が劇的な改善としてポジティブに受け止められました。
・全国的な認知度
本来は地域限定の商業施設が、ネットのバイラル効果により全国区の知名度を得たことで、テナント誘致の際にも「あのピエリ」という説明不要の状態を作り出しました。
2. ターゲットの再定義と「外資系ファストファッション」の集積
再建を手掛けたサムティ社(現:サムティ・ホールディングス)らは、近隣の強力なライバル(三井アウトレットパーク 滋賀竜王やイオンモール草津)との徹底的な差別化を図りました。
・アンカーテナントの誘致
H&M、ZARA、Bershka、Stradivariusといった「外資系ファストファッション」を北陸・近畿エリア最大級の規模で集結。
・広域集客の実現
地元の日常使いだけでなく、「ここに来ればトレンドの服が揃う」という目的買いの広域客をターゲットに設定。
・希少性の創出
滋賀県内や周辺地域で未進出だった人気ブランドを揃えることで、競合他社との「同質化」を回避。
3. 体験価値へのシフト
EC(ネット通販)の台頭を見据え、単なる買い物の場ではなく、「滞在型施設」としての機能を強化したことが、リピート率の向上に繋がりました。
・「めっちゃさわれる動物園」の導入(当時)
商業施設としては異例の、動物と触れ合える屋内型施設を導入。ファミリー層の強力なフックとなりました。
・屋外アスレチックとフットサルコート: 琵琶湖に面した立地を活かし、屋外レジャー施設を併設。
・琵琶湖クルーズの連携
船でアクセスできる桟橋を活用し、観光拠点としての価値を付加。
■ピエリ守山の基本戦略
ピエリ守山の事例から学べるのは、「競合と同じ土俵で戦わない」という基本戦略の重要性です。
・弱点を強みに変える発想
不名誉なニックネームも、解釈次第で強力なマーケティング武器になる。
・差別化の源泉を明確にする
競合が持っていない「独占的なコンテンツ(外資ブランドの集積)」を持つこと。
・資産の再解釈
既存のハコモノに「体験」という新しいソフトを注入し、用途を再定義(Re-definition)する。
「過去の失敗」という最大のコストを、「ストーリー」という最大の資産へ変換したことが、ピエリ守山復活の本質と言えます。



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