有機農法の農産物が売れない理由
- LAPIN PDG
- 3 日前
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〜ベネフィットのミスマッチ〜
「体に良さそう」「環境に優しい」というポジティブなイメージがありながら、なぜ有機農法(オーガニック)の農産物は日本の市場で苦戦を強いられているのか。
ビジネスの視点からその要因を分解すると、単なる「意識の低さ」ではなく、構造的なサプライチェーンとマーケティングの課題が見えてきます。
1. コスト構造と価格弾力性のミスマッチ
ビジネスにおいて最も高い壁は、「生産コスト」と「消費者許容価格」の乖離です。
・労働集約型の生産モデル
有機農業は除草剤や化学肥料に頼らないため、雑草管理や病害虫対策に膨大な人的リソースを消費します。
・規模の経済が働きにくい
小規模分散型の農家が多く、機械化による効率化が難しいため、1単位あたりの生産コストが高止まりします。
・プレミアム価格の限界
一般的な慣行農法に比べ、価格が1.5倍〜2倍になることも珍しくありません。デフレマインドが残る日本の消費市場において、この価格差を埋めるだけの「ベネフィット」を提示できていないのが現状です。
2. 物流・流通網の脆弱性(チャネル戦略の欠如)
優れた製品であっても、顧客の手に届かなければ存在しないのと同じです。
・不安定な供給量
天候リスクをダイレクトに受けるため、欠品が許されない大手スーパーの棚を確保し続けることが困難です。
・多頻度小口配送のコスト
産地が点在しているため、集荷効率が悪く、物流コストが最終価格をさらに押し上げる悪循環に陥っています。
3. 「エモーショナル」に偏りすぎたマーケティング
多くの有機農産物の訴求は「安心・安全」や「生産者の想い」という情緒的価値に終始しています。しかし、ビジネスパーソンが注目すべきは、顧客の「不利益(ペインポイント)」をどう解決するかという視点です。

4. 「見えない価値」の定量化不足
日本の消費者は非常に合理的です。「なんとなく良い」ものに高い金は払いません。有機農法が「SDGs(環境負荷の低減)」に寄与しているという外部経済効果が、価格に正当に転嫁されるためのデータやストーリーテリングが不足しています。
・トレーサビリティの不透明さ
「JASマーク」以外の差別化要因が消費者に伝わっていない。
・LTV(顧客生涯価値)の視点
単発の購買ではなく、サブスクリプションやファンコミュニティ形成への移行が遅れている。
■求められるのは「農業のサービス業化」
有機農産物が売れないのは、プロダクトの質が悪いからではなく、「売り方(ビジネスモデル)」がアップデートされていないからと言えます。単なる農産物(コモディティ)として売るのではなく、健康投資や環境への意思表示という「ソリューション」として再定義する必要があります。
消費者が求めているのは「有機野菜」そのものではなく、それを食べることで得られる「健康な体」や「心地よいライフスタイル」というベネフィットです。



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