銅価格高騰の理由とビジネスへの影響
- LAPIN PDG
- 1月23日
- 読了時間: 3分

2026年現在、銅の価格は歴史的な高騰を見せており、ロンドン金属取引所(LME)では一時1トン=1万3,000ドルを突破するなど、ビジネスの現場でもコスト増への警戒が強まっています。
かつて銅は「景気のバロメーター(Dr. Copper)」と呼ばれましたが、現在は景気循環とは無関係に需要が伸び続ける「構造的不足」のフェーズに突入しています。なぜ今、これほどまでに銅が買われているのか。その背景にある3つの主要因を解説します。
1. 「AIインフラ」という巨大な新需要の出現
2024年後半から2026年にかけて、最も予測を上回るインパクトを与えたのがAIデータセンターの急増です。
・高い電力密度
AI専用サーバーは通常のサーバーに比べ膨大な電力を消費します。そのため、データセンター内の配線や電源ユニット、バスバー(導電棒)に大量の銅が必要となります。
・冷却システムの高度化
AIチップの熱を逃がすための高度な水冷・空冷システムにも、熱伝導率に優れた銅が不可欠です。
・需要の積み増し
ゴールドマン・サックスなどの分析では、2026年までにデータセンター関連だけで数十万トン規模の追加需要が発生すると予測されています。
2. 脱炭素(GX)加速による「電化」の宿命
世界的なカーボンニュートラルへの潮流は、社会全体の「電化」を意味します。銅は「電気の血管」であり、代替が極めて困難です。
・EV(電気自動車)
ガソリン車と比較して、EVは約3〜4倍の銅を使用します(モーター、バッテリー、車内配線など)。
・再生可能エネルギー
太陽光発電や風力発電は、火力発電に比べて単位発電量あたりに必要な銅の量が圧倒的に多く、送電網(グリッド)の増強にも膨大な銅線が投入されています。
3. 「銅の崖」
〜追いつかない供給サイド〜
需要が急増する一方で、供給側には深刻な制約、いわゆる「銅の崖(Copper Cliff)」が立ちはだかっています。
・鉱石品位の低下
既存の主要鉱山(チリやペルーなど)では、掘り出される鉱石に含まれる銅の割合が年々低下しており、生産効率が落ちています。
・新規開発の長期化: 新しい鉱山を稼働させるには、環境規制や先住民との交渉、インフラ整備などで平均10〜15年の歳月を要します。
・地政学リスクと在庫偏在
関税の導入や貿易摩擦を背景に、米国などが戦略的に在庫を積み増しており(備蓄行動)、市場に流通する「現物」が慢性的に不足しています。
4.ビジネスへの影響
銅価格の上昇は、単なる材料費の高騰に留まらず、「調達そのものが困難になるリスク」を孕んでいます。
今後の注目ポイント
・リサイクルの重要性:
採掘コスト増に伴い、スクラップ(再生銅)の価値が急騰しています。
・代替素材の模索
一部でアルミニウムへの代替が進んでいますが、伝導率の差から限界があり、銅の優位性は揺らいでいません。
今後もAIやGXへの投資が続く限り、銅は「新しい石油」としての戦略的地位を強めていくでしょう。



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