消費税廃止の真実
- LAPIN PDG
- 1月20日
- 読了時間: 3分

〜消費税廃止でも国民の負担は変わらない〜
消費税廃止という議論は非常に魅力的ですが、ビジネスパーソンの視点から「マクロ経済のバランス」と「税制の代替性」を考えると、その実態は決してバラ色の生活をもたらすものではないことが見えてきます。
本記事では、なぜ消費税を廃止しても国民の負担が減らないのか、その構造的な理由を解説します。
1. 消費税は「国の安定財源」の柱
現在、日本の税収において所得税、法人税、消費税は「税収三本柱」と呼ばれています。中でも消費税は、景気の変動に左右されにくく、少子高齢化が進む日本において社会保障費を支える最も安定した財源です。
もし消費税(2024年度予算ベースで約23.8兆円)を完全に廃止した場合、この巨額の欠損を他の税目で埋め合わせる必要が生じます。
2. 代替財源としての所得税・法人税の限界
消費税の穴を埋めるために、所得税や法人税を増税した場合、以下のようなシナリオが現実的となります。
①所得税への転嫁
〜現役世代の可処分所得の減少〜
消費税は全世代が負担しますが、所得税は主に現役世代が負担します。
・影響
累進課税が強化されれば、高所得層だけでなく中間層の税率も引き上げざるを得なくなります。
・結果
消費税10%分が浮いたとしても、毎月の給与明細から引かれる所得税が大幅に増えれば、手取り額(可処分所得)は変わりません。
②法人税への転嫁
〜国際競争力と賃金への影響〜
「企業の利益から取ればいい」という議論もありますが、ビジネスの現場では逆効果を招くリスクがあります。
・影響
法人税率の上昇は、企業の内部留保を削り、設備投資やR&D(研究開発)を抑制させます。
・結果
最も大きな懸念は「賃上げ原資の枯渇」です。企業が税負担を嫌い、海外へ拠点を移転させる「産業の空洞化」を招く恐れもあります。
3. 「負担の付け替え」に過ぎない構造
結局のところ、政府が提供する公共サービス(医療、年金、介護、教育など)のコストが変わらない限り、国民全体の負担総額は変わりません。
・買い物時の支払い
110円(10円は税)→100円
・給与からの天引き
標準的→大幅に増加
・企業のコスト
事務負担あり→法人税負担増による投資減
・実質的な生活水準
現状維持→ほぼ変化なし(または悪化)
このように、消費税廃止は「買い物の瞬間」の心理的負担を下げますが、「所得を得る段階」での負担が激増するため、国民一人ひとりのキャッシュフローをトータルで見れば「いってこい(相殺)」の状態になります。
4. ビジネスパーソンが注視すべきは「使途」
消費税廃止論は感情的には受け入れやすいものですが、ビジネスパーソンとしては、単なる「税目の変更」は抜本的な解決策にならないことを理解しておく必要があります。
重要なのは「どの税金で取るか」という議論以上に、「集めた税金がどれだけ効率的に使われているか」という行政改革や、潜在成長率を上げるための投資にあります。



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