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仮に消費税が廃止されたらどうなる?

What would happen if the consumption tax were abolished?
What would happen if the consumption tax were abolished?

消費税廃止という議論は、家計の負担軽減や景気刺激策として常に注目を集めます。しかし、ビジネスパーソンの視点からマクロ経済を俯瞰すると、その効果が「インフレ(物価上昇)」によって相殺され、実質的なメリットが限定的になるリスクが見えてきます。


本記事では、消費税廃止がもたらす経済的メカニズムとその副作用について解説します。




1. 消費税廃止が引き起こす「需要牽引型インフレ」


消費税が廃止されれば、短期的には商品の税込価格が下がり、消費者の購買力が向上します。しかし、これが持続的な景気拡大につながるかどうかは別問題です。


・過剰な需要の発生

消費税10%分が浮くことで、社会全体の需要が急増します。


・供給力の限界

需要が供給能力を超えた場合、企業は価格を引き上げざるを得ません。


・価格の再上昇

結果として、消費税分が下がったはずの価格が、インフレによって再び元の水準(あるいはそれ以上)まで押し上げられる可能性があります。




2. 財源不足に伴う「通貨価値の低落」


消費税は、日本の税収の約3分の1を占める主要な財源です。これを廃止した場合、不足分を補うための国債発行が加速します。


・マネタリーベースの拡大

市場に供給される通貨量が増えすぎると、通貨(円)の価値が相対的に低下します。


・輸入コストの増大

円安が進めば、エネルギーや原材料を輸入に頼る日本企業にとって、コストプッシュ型のインフレを誘発します。


・実質所得の停滞

名目上の消費税がゼロになっても、輸入インフレによって生活必需品の価格が上がれば、消費者の実質的な生活水準は向上しません。




3.価格転嫁と金利上昇

ビジネスパーソンにとって無視できないのが、「金利」と「価格戦略」への影響です。


・金利の上昇

インフレ抑制のために中央銀行が利上げを行えば、企業の借入コストが増大し、設備投資を抑制する要因になります。


・価格転嫁の混乱

消費税廃止に伴う価格改定コスト(メニューコスト)が発生する一方、インフレ下での機敏な価格転嫁が求められ、経営の難易度が上がります。


・社会保障のリスク

財源不足により社会保障制度が不安定になれば、将来不安から消費者が貯蓄に走り、期待された消費刺激効果が相殺されます。



4. 効果は「一時的」か「持続的」か


消費税廃止は、デフレ脱却の劇薬としては有効かもしれません。しかし、現在の日本のように供給制約(人手不足など)がある状況では、「減税による恩恵」を「インフレによるコスト増」が食いつぶす可能性が高いと言わざるを得ません。


ビジネスリーダーとしては、単なる「減税の是非」だけでなく、それに伴う通貨価値の変動や金利動向までを含めたシナリオプランニングが求められます。



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©2023 合同会社ラパンサービス

Écrit par Hideo Yamamoto.

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