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ボーナスの目的とその変遷

The purpose of bonuses and their evolution
The purpose of bonuses and their evolution

〜時代とともに変化するボーナスの目的〜


ビジネスパーソンにとって大きな関心事である「ボーナス(賞与)」。単なる給与の上乗せと捉えられがちですが、その役割と目的は時代や経済状況の変化とともに大きく変わってきました。


この記事では、日本の経済発展の歴史をたどりながら、それぞれの時代におけるボーナスの主な目的とその変遷を解説します。



1. 創成期・高度経済成長期(戦後~1970年代)


目的:生活補助・一体感の醸成


高度経済成長期、日本の企業は「終身雇用」と「年功序列」を柱とする日本型経営を確立しました。この時代のボーナスは、以下のような目的を持っていました。


・生活補助の役割

月々の基本給が低く抑えられていた時代、ボーナスは従業員とその家族にとって、高額な買い物や教育費など、臨時的な出費を賄うための重要な生活資金としての側面が強かったです。


・経営成果の「分配」

会社全体で得た利益を、従業員に公平に分配することで、企業と従業員の一体感や運命共同体意識を高める役割を果たしていました。


・調整弁

業績が良かった年には多めに、悪かった年には少なめに支給することで、企業のキャッシュフローを調整する機能もありました。


キーワード: 年功序列、生活給、分配、運命共同体



2. バブル期・安定成長期(1980年代~1990年代前半)


目的:モチベーション向上・労働意欲の刺激


バブル経済の絶頂期、企業は潤沢な利益を享受し、従業員の処遇も手厚くなりました。


・「ご褒美」としての側面が強化

企業の業績が良いのは当たり前という空気の中、ボーナスは「頑張ったことへの報奨」としての色が濃くなり、旅行や高級品の購入など、消費を刺激する要素となりました。


・優秀な人材の確保と維持

競合他社に比べて高いボーナスを支給することで、優秀な人材の流出を防ぎ、採用市場における自社の魅力を高める重要なツールとなりました。


・査定・評価制度の導入

この頃から、従来の均等分配から、個人の人事評価や部門の業績を反映させ始める企業が増え、労働意欲を刺激する目的が加わりました。


キーワード: 報奨、消費刺激、人材維持、評価連動



3. 構造改革期・失われた30年(1990年代後半~2010年代)


目的:業績連動・人件費の弾力化


バブル崩壊とグローバル化の波を受け、企業経営は厳しさを増しました。「日本型雇用」の見直しが進み、ボーナスの目的も大きく変化しました。


・人件費の「弾力化」

固定費である基本給に対し、ボーナスは企業の業績に応じて変動させやすい「変動費」としての役割を強化しました。業績悪化時には支給額を抑制し、企業体力の維持に重点が置かれました。


・成果主義の導入

年功序列が崩壊し、個人の「成果」や「達成度」に連動させる評価制度が本格的に導入されました。ボーナスは、過去の働きへの対価としての性格を強めました。


・目標達成へのインセンティブ

役職者を中心に、事前に設定した目標の達成度合いに応じてボーナス額を決定するインセンティブ(報奨金)としての側面も持つようになりました。


キーワード: 変動費、成果主義、インセンティブ、業績連動



4. 現代(2020年代~)


目的:戦略的報酬・優秀な人材の獲得競争


労働市場の流動化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、そして働き方の多様化により、ボーナスの目的はさらに戦略的になっています。


・戦略的報酬としての活用

企業が最も求めるスキル(例:IT、グローバル経験)を持つ人材に対して、市場価値に合わせた高い報酬としてボーナスを活用し、採用競争力を高めています。


・エンゲージメント(貢献意欲)の強化

単なる金銭的報酬に留まらず、従業員の企業への愛着や貢献意欲を高めるための手段として、透明性の高い評価と連動させる動きが強まっています。


・多様な形での支給

ストックオプション、譲渡制限付き株式(RSU)など、現金でのボーナスだけでなく、中長期的な企業価値向上に貢献してもらうための資本参加の仕組みと組み合わせるケースも増えています。


・個人・チーム・全社目標の同期

OKR(目標と主要な結果)などの目標設定フレームワークと連携させ、個人の働きが会社全体の成功にどう繋がっているかを実感させるための装置となっています。


キーワード: 戦略的報酬、市場価値、エンゲージメント、中長期インセンティブ




5.ボーナスの役割は「生活の保障」から「戦略的投資」へ


ボーナスの目的は、「みんなの生活を支えるための分配(生活給)」から、「個人の成果と市場価値に対する戦略的な対価(インセンティブ)」へと進化してきました。


現代のビジネスパーソンは、ボーナスを「頑張ったご褒美」として受け取るだけでなく、「自分の市場価値と会社への貢献度が、この額に反映されているか?」という視点を持って捉えることが重要です。



ご自身のボーナスが、どの時代の目的に近い仕組みで設計されているかを理解することで、今後のキャリア戦略を立てる上でのヒントが得られるでしょう。




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©2023 合同会社ラパンサービス

Écrit par Hideo Yamamoto.

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