夢と現実の狭間で揺れる「地下アイドル」の過酷な現実
- LAPIN PDG
- 5月25日
- 読了時間: 4分

〜貧困といじめに苦しむ少女たち〜
きらびやかなステージの裏で、多くの地下アイドルが貧困やいじめといった厳しい現実に直面しています。華やかなイメージとはかけ離れたその実態は、夢を追いかける少女たちの心身を蝕み、時には絶望へと追い込んでいます。
■厳しい経済状況
〜夢を追いかけるための代償〜
地下アイドル活動は、決して経済的に恵まれたものではありません。むしろ、多くのアイドルが貧困にあえいでいます。
〇不安定な収入と「やりがい搾取」
地下アイドルの主な収入源は、ライブ後の物販(チェキ販売など)の歩合制であることがほとんどです。固定のギャラが支払われることは稀で、どれだけ頑張って集客しても、チェキを売っても、その利益のほとんどが運営側に回収されてしまうケースも少なくありません。中には、ファンが購入したグッズの収益がアイドル本人に全く還元されないという驚くべき実態も報告されています。
〇自腹の活動費
衣装代や交通費、レッスン代など、活動にかかる費用はアイドル自身が負担することがほとんどです。これに加え、食費や家賃といった生活費も捻出しなければならず、アルバイトをする時間もままならない中で、経済的な負担は増大するばかりです。
〇劣悪な住環境
家賃2〜3万円台の風呂なしアパートで生活し、鳥のエサとして売られている「くず米」を主食にするなど、極めて貧しい生活を送るアイドルも存在します。借金を抱え、自己破産に至るケースも報じられています。
〇「労働者」と認められない現実
多くの地下アイドルは、事務所から行動や時間を拘束され、指示に従って活動しているにもかかわらず、「個人事業主」として扱われ、労働基準法が適用されないケースが多々あります。これにより、最低賃金の保証や休日などの権利が守られず、長時間労働と低賃金が常態化しています。
■閉鎖的な環境が生む「いじめ」と精神的苦痛
地下アイドルという特殊な環境は、人間関係のトラブルや精神的な苦痛を生み出しやすい温床となっています。
〇メンバー間のいじめ
グループ内のメンバー同士で足の引っ張り合いやいじめが横行することもあります。特に、気の強いメンバーが多いグループでは、他のメンバーを蹴落とすような行動が見られ、人間関係の悩みが尽きないという声も聞かれます。
〇運営側によるハラスメント
運営側によるセクハラやパワハラも深刻な問題です。携帯の中身をチェックされたり、まるでキャバ嬢のようにファンとの交流を強いられたりするケースも報告されています。また、運営が芸能界の知識やコンプライアンス意識に乏しい場合も多く、不適切な言動や契約トラブルが発生しやすい状況です。
〇ファンとの距離の近さ
地下アイドルは、ライブハウスでの活動や握手会・チェキ会などを通してファンとの距離が非常に近いのが特徴です。この距離の近さが、一部のファンをストーカー化させる原因となることもあります。過度な「サービス精神」が、ファンの誤解を招き、「〇〇のパートナーは自分しかいない」といった歪んだ感情を生み出し、結果としてストーカー被害や精神的なダメージにつながる事例も少なくありません。
〇過剰な活動スケジュールと精神的疲弊
週に何日もライブを行い、レッスンやSNS更新も欠かせない多忙なスケジュールは、心身に大きな負担をかけます。過労から鬱状態に陥るアイドルもおり、自己肯定感の低下や精神的な不安定さを訴える声も聞かれます。
■夢と現実のギャップ、そして辞める決断
「アイドルになりたい」という純粋な夢を抱いてこの世界に飛び込んだ少女たちは、想像を絶する現実とのギャップに苦しみます。
〇辞めたくても辞められない現実
劣悪な環境でも、簡単に辞めることができないケースもあります。運営側が多額の違約金を請求したり、新しいメンバーが見つかるまで引き止めたりするなど、トラブルに発展することもあります。
〇精神科受診の必要性
精神的なストレスが限界に達し、精神科を受診して診断書を得ることで、ようやく辞める理由として認められる場合もあります。
〇自己責任論の影
社会には「やりたい仕事だから」「売れるためには仕方ない」といった「自己責任論」や「やりがい搾取」の意識が根強く存在し、地下アイドルの置かれている厳しい労働環境を軽視する傾向が見られます。
■地下アイドルの現実のまとめ
地下アイドルの世界は、表舞台の華やかさとは裏腹に、多くの少女たちが貧困やいじめ、精神的苦痛に耐えながら活動している厳しい現実があります。彼女たちが安心して夢を追いかけられる環境を整えるためには、運営側の倫理観の向上はもちろんのこと、社会全体がこの問題に関心を持ち、改善に向けて取り組むことが不可欠です。
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