トーマス・キルマン・モデルとは何か?
- LAPIN PDG
- 2025年8月6日
- 読了時間: 4分

〜対立の心理学モデル〜
1.トーマス・キルマン・モデルとは
トーマス・キルマン・モデル(Thomas-Kilmann Conflict Mode Instrument, TKI)は、コンフリクト(対立)に直面した際に人がどのような行動パターンを取るかを理解するための心理学モデルです。このモデルは、ビジネスの現場、特にチーム内や部署間での意見の対立を建設的に解決するためのツールとして広く使われています。
このモデルでは、対立を解決しようとする際の行動を、以下の2つの軸で分類します。
・自己主張性(Assertiveness)
自分の意見や要求をどの程度強く主張するか。
・協調性(Cooperativeness)
相手の意見や要求をどの程度尊重し、受け入れるか。
これらの軸を組み合わせることで、5つの異なるコンフリクト解決スタイルが導き出されます。
2.5つのコンフリクト解決スタイル
1.競争(Competing)
・特徴
自己主張性が高く、協調性が低い。
・行動パターン
自分の意見が正しいと信じ、相手の意見を押し切ろうとします。「勝利」を最優先するため、議論が激化しがちです。
・適切な場面
緊急事態や、倫理的に譲れない問題など、迅速な決断が必要な状況。
・注意点
関係性が悪化するリスクが高いため、多用は禁物です。
2.協調(Accommodating)
・特徴: 自己主張性が低く、協調性が高い。
・行動パターン
自分の意見を抑え、相手の意見に合わせます。場の和を保つことを優先するため、自分の不満を抱え込む傾向があります。
・適切な場面
相手にとって重要だが、自分にとってはさほど重要でない問題。または、相手との関係性を維持したい場合。
・注意点
長期的に見ると不公平感や不満が蓄積し、生産性が低下する可能性があります。
3.回避(Avoiding)
・特徴
自己主張性も協調性も低い。
・行動パターン
対立そのものから距離を置き、問題を先送りにしたり、議論を避けたりします。対立によるストレスを回避しようとします。
・適切な場面
問題が軽微である場合、または、時間をおいて冷却期間を設けることで解決する見込みがある場合。
・注意点
根本的な問題が解決されないため、後々より大きな問題となる可能性があります。
4.妥協(Compromising)
・特徴: 自己主張性と協調性が中程度。
・行動パターン
双方がある程度の譲歩をして、中間的な解決策を探ります。「痛み分け」とも言え、全員が完全に満足するわけではないが、許容できる着地点を見つけようとします。
・適切な場面
時間が限られている場合や、お互いの要求が対等である場合。
・注意点
最善の解決策ではなく、「次善策」に落ち着きがちです。
5.協力(Collaborating)
・特徴
自己主張性が高く、協調性も高い。
・行動パターン
双方の意見を深く掘り下げ、対立の背景にあるニーズや目的を共有し、全員が満足できる革新的な解決策を共に探します。時間と労力はかかりますが、最も理想的な解決策に繋がりやすいスタイルです。
・適切な場面
チームとして長期的な目標を共有し、強固な信頼関係を築きたい場合。複雑な問題に対して、画期的なアイデアが必要な場合。
・注意点
多くの時間とエネルギーを要するため、すべての問題に適用するのは非現実的です。
3.ビジネスパーソンがこのモデルを活用するには?
1.自分のスタイルを客観的に知る
まず、自分がどのようなコンフリクト解決スタイルを無意識に取ることが多いかを理解することから始めましょう。
2.状況に応じてスタイルを使い分ける
重要なのは、「一つのスタイルが常に正しい」わけではないということです。状況に応じて最適なスタイルを意図的に選択することが、効果的な問題解決に繋がります。
3.相手のスタイルを理解する
相手がどのようなスタイルでコンフリクトに臨んでいるかを観察することで、コミュニケーションの方法を調整できます。例えば、相手が「回避」傾向にある場合は、対立を避けるのではなく、まずは安心感を与えて対話の機会を作ることから始めましょう。
トーマス・キルマン・モデルは、単に自己分析のためだけでなく、チームや組織全体のコンフリクト解決能力を向上させるための共通言語としても役立ちます。このモデルを日々の業務に活かすことで、対立を恐れることなく、成長の機会へと変えていくことができるでしょう。



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