インバウンド「依存」からの脱却
- LAPIN PDG
- 2025年5月26日
- 読了時間: 5分
〜今こそ、内需拡大で日本経済を盤石に〜

■はじめに
〜インバウンドは「諸刃の剣」だったのか?〜
近年、日本経済を牽引するドライバーの一つとして期待されてきたインバウンド(訪日外国人観光)需要。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックは、その「脆さ」を露呈しました。一夜にして需要が蒸発し、関連産業に甚大な打撃を与えたことは記憶に新しいでしょう。
もちろん、インバウンドが日本経済にもたらす恩恵は計り知れません。国際的な交流の促進、地域経済の活性化、日本の文化発信など、多岐にわたります。しかし、今回のパンデミックを教訓に、私たちは立ち止まって考えるべきです。「インバウンドに過度に依存した経済構造は、本当に盤石なのだろうか?」と。
本稿では、ビジネスパーソンの皆様が、今後の事業戦略を考える上で不可欠となる「内需拡大」の重要性と、そのための具体的な視点について解説します。
■現状認識
〜なぜ今、内需拡大が喫緊の課題なのか〜
現在の日本経済は、少子高齢化による人口減少、労働力不足、そして長引くデフレからの脱却という構造的な課題に直面しています。その中で、インバウンドは一時的な「特効薬」として機能した側面は否定できません。しかし、外部要因に左右されやすいインバウンド需要は、あくまで経済成長の一要素に過ぎず、持続的な成長を担保するものではありません。
今後、世界情勢の不安定化や新たな感染症のリスクが常に存在する中で、私たちはより強靭な経済構造を築く必要があります。そのためには、国民一人ひとりの消費意欲を高め、国内企業が国内市場でしっかりと収益を上げられる環境を整備する「内需拡大」こそが、喫緊の課題なのです。
■内需拡大に向けたビジネス視点
〜どこに商機を見出すか?〜
では、具体的にビジネスパーソンはどのように内需拡大に貢献し、新たな商機を見出すべきでしょうか。
1.「課題解決型」消費への注目
〜少子高齢化をチャンスに変える 〜
少子高齢化は、社会全体の課題であると同時に、新たなビジネスチャンスの宝庫でもあります。例えば、高齢者の健康維持や介護、QOL(生活の質)向上に資する商品・サービスは、今後ますます需要が高まるでしょう。また、共働き世帯の増加に伴う家事・育児負担軽減サービス、教育・習い事への投資なども、内需拡大の重要な柱となります。
例: 高齢者向けの見守りサービス、健康寿命延伸をサポートするAIフィットネス、時短・簡便調理のミールキット、オンライン教育コンテンツなど。
2.デジタルシフトの加速とパーソナライゼーション
〜顧客体験価値の向上〜
コロナ禍で加速したデジタルシフトは、内需拡大の強力なエンジンとなり得ます。ECサイトの拡充、オンラインサービスの提供はもちろんのこと、AIを活用したパーソナライズされた購買体験や、顧客エンゲージメントを高めるデジタルマーケティングは、顧客単価の向上やリピート購買に繋がります。データ分析に基づいた顧客理解を深め、一人ひとりのニーズにきめ細かく応えることが重要です。
例: 顧客データに基づいたレコメンデーション機能、VR/ARを活用した仮想試着・体験、サブスクリプション型サービス、D2C(Direct to Consumer)ビジネスモデルの強化。
3.地域経済の再活性化と「ローカルtoローカル」
〜新たな価値創出 〜
大都市圏だけでなく、地方における内需拡大も不可欠です。地域固有の資源や文化、技術を活かした商品開発やサービス提供は、地域経済の活性化に繋がります。また、地域内での消費を促す「ローカルtoローカル」の取り組みは、地域の雇用創出やコミュニティ形成にも寄与します。
例: 地域産品を活用したブランド構築、古民家再生による宿泊施設・体験型コンテンツ、地方でのワーケーション誘致、地域課題解決型ビジネス(例:MaaSによる移動課題解決)。
4.サステナビリティ・エシカル消費への対応
〜企業の社会的責任とビジネスチャンス 〜
SDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりとともに、環境に配慮した商品や社会貢献に繋がる消費(エシカル消費)への関心が高まっています。企業がサプライチェーン全体でサステナビリティを追求し、その姿勢を顧客に伝えることは、企業のブランド価値向上だけでなく、新たな顧客層の獲得にも繋がります。
例: 環境配慮型素材の活用、食品ロス削減への取り組み、フェアトレード商品の展開、リサイクル・アップサイクル事業。
■政策提言
〜政府・自治体への期待〜
私たちビジネスパーソンが努力する一方で、政府や自治体にも内需拡大に向けた強力な後押しを期待します。
〇賃上げの継続的な支援と消費税のあり方見直し
消費者の購買意欲を直接的に刺激する賃上げへの支援策、そして消費税の負担軽減策は、内需拡大に直結します。
〇規制緩和とベンチャー支援
新たなビジネスモデルやテクノロジーの社会実装を促進するための規制緩和、そしてスタートアップ・ベンチャー企業への積極的な投資・支援は、イノベーション創出と内需拡大の源泉となります。
〇地方創生に向けたインフラ整備と投資
高速通信網の整備、地方都市の魅力向上に資するインフラ投資は、地方における新たなビジネスチャンスと雇用を生み出します。
〇教育投資とリスキリングの推進
変化の激しい時代に対応できる人材を育成するための教育投資、そして社会人の学び直し(リスキリング)支援は、労働生産性の向上と新たな消費ニーズの創出に繋がります。
■今回のまとめ
〜内需拡大は日本経済の「未来」を拓く〜
インバウンド需要は、日本経済に重要な役割を果たしてきましたが、その一方で、外部要因に左右されやすいという側面も露呈しました。今こそ私たちは、内需拡大という足元の強固な基盤を築き、持続可能で強靭な日本経済を創り上げるべき時です。
ビジネスパーソンの皆様には、本稿で述べた視点を参考に、自社の強みを活かし、新たな価値創造に挑戦していただきたいと願っています。内需拡大は、単なる経済政策ではなく、日本の未来を拓くための重要な戦略なのです。



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