商談のアイスブレイクに使える「趣味トーク」の技術
- LAPIN PDG
- 1 時間前
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〜盛り上げるより、相手が話しやすいテーマを選ぶ〜
商談の冒頭に、いきなり本題へ入るのではなく、ちょっとした雑談を挟む。いわゆる「アイスブレイク」は、相手との距離を縮めるうえで有効な手法です。
なかでも使いやすいのが「趣味」の話題です。
「休日は何をされているんですか?」
「最近、何かハマっていることはありますか?」
こうした質問から会話が広がれば、相手の人柄を知ることができ、商談の空気も柔らかくなります。
しかし、趣味の話には意外な落とし穴もあります。
「ゴルフをされるんですか? では今度ぜひご一緒に」
「野球がお好きなんですね。私は絶対にサッカー派です」
「その映画、私はあまり好きじゃないですね」
このように、アイスブレイクのつもりが、いつの間にか「誘い」「意見対立」「マウント合戦」に変わってしまうことがあります。
では、商談ではどのような趣味トークが適しているのでしょうか。
ポイントは、自分の趣味を披露することではなく、相手が無理なく話せるテーマを選ぶことです。
1.商談の趣味トークは「共通点探し」が目的ではない
趣味の話というと、「共通の趣味を見つける」ことが重要だと思われがちです。
もちろん、共通点が見つかれば会話は盛り上がります。
しかし、商談では必ずしも共通点を探す必要はありません。
むしろ重要なのは、
「この人とは話しやすい」と相手に感じてもらうこと
です。
例えば、
「私もゴルフをやります」
と共通点を見つけたとしても、
「では今度、一緒にラウンドしましょう」
という展開になれば、相手によっては負担になります。
一方、
「私は最近、休日に散歩することが増えまして。○○さんは休日はどんなふうに過ごされていますか?」
程度なら、相手も答えやすい。
商談のアイスブレイクでは、会話を深掘りしすぎないことも重要なのです。
2.商談に向いている趣味・休日の話題
比較的安全なのは、「勝ち負け」や「価値観の強い対立」が起きにくいテーマです。
① 食べ歩き・料理
「最近、おいしいお店を探すのがちょっとした楽しみでして」
食の話は、多くの人が参加しやすいテーマです。
ただし、
「好きな料理は何ですか?」
だけでは、すぐに話が終わることがあります。
そこで、
「最近、何かおいしいものを食べましたか?」
のように、最近の経験を聞くと会話が続きやすくなります。
② 旅行・観光
旅行も比較的話しやすいテーマです。
「最近どこか旅行されましたか?」
よりも、
「最近、どこか出かけられました?」
くらいの軽い聞き方がおすすめです。
旅行に行っていない人でも、
「いや、最近は忙しくて全然……」
と答えられるからです。
そこから、
「お忙しいですもんね。私も最近は近場ばかりです」
と、自分の話を少し加えることもできます。
③ 映画・ドラマ・音楽
エンターテインメントも便利な話題です。
ただし、「作品の評価」について議論するのではなく、
「最近何か見ましたか?」
「通勤中は音楽を聴かれますか?」
など、ライトな質問に留めるのがポイントです。
相手が好きな作品を答えたら、
「それは面白そうですね。どんなところがおすすめですか?」
と聞けば、相手に解説してもらえます。
ここで大切なのは、自分の知識を競わないことです。
④ 散歩・写真・読書
「最近、健康のために歩くようになりまして」
「休日に写真を撮るようになりました」
「最近、本を読む時間が増えました」
こうした趣味は、比較的穏やかに会話を展開できます。
特に、
「最近始めたこと」
はおすすめです。
趣味の熟練度を競う必要がなく、相手も話に参加しやすいからです。
3.意外と注意したい「ゴルフ」「麻雀」
ビジネスパーソンの定番ともいえるゴルフや麻雀ですが、商談のアイスブレイクでは少し注意が必要です。
ゴルフの場合
「ゴルフをされるんですか?」
という質問自体は問題ありません。
しかし、
「では今度ぜひ一緒に」
まで進むと、単なる雑談ではなくなります。
相手が取引先の場合、社交辞令なのか本気なのかも判断しづらくなります。
さらに、
「どれくらいのスコアですか?」
と聞くと、相手によっては競争意識を刺激してしまいます。
ゴルフの話をするなら、
「最近はなかなか行けなくて」
「どのコースがお好きですか?」
など、競技性より体験談に寄せると安全です。
麻雀の場合
麻雀も、好きな人同士なら非常に盛り上がります。
一方で、ギャンブルの印象を持つ人もいます。
また、
「麻雀をやるなら今度メンツを集めましょう」
という展開になると、相手との関係性によっては負担になります。
したがって、相手から話題が出た場合は、
「最近もやられるんですか?」
「学生時代にやっていました」
程度にとどめ、相手の反応を見ながら広げるのが無難です。
4.趣味の話で避けたい「三つの地雷」
趣味トークが危険になるポイントは、大きく三つあります。
地雷① 勝ち負け
ゴルフ、スポーツ、ゲームなどは、いつの間にか競争になります。
「私のほうが詳しい」
「私はもっと良いスコアです」
という空気になると、アイスブレイクとしては逆効果です。
競争ではなく、経験を聞く。
これだけでも会話の雰囲気は変わります。
地雷② 好みの否定
「私はその映画、嫌いですね」
「その音楽は全然聴きません」
「私は犬派なので猫はちょっと……」
趣味は、その人の価値観に近い領域です。
そのため、相手の好みを否定すると、本人自身を否定されたように受け取られることがあります。
意見が違っても、
「なるほど、そういうところが好きなんですね」
と一度受け止める。
そのうえで、
「私はこういう作品が好きなんです」
と、自分の好みを別の話として紹介するほうが安全です。
地雷③ 誘いにつなげる
「ゴルフ」
「飲み会」
「釣り」
「麻雀」
「旅行」
など、複数人で楽しむ趣味には注意が必要です。
相手が「好き」と言ったからといって、
「では今度ぜひ!」
と誘う必要はありません。
趣味の一致=一緒に行きたい、ではない
からです。
商談では、相手が自発的に具体的な誘いを出した場合を除き、まずは会話の材料として扱うほうが無難でしょう。
5.会話を広げる「一段深掘り」の質問
趣味トークでは、質問を連発すると面接のようになってしまいます。
そこでおすすめなのが、
「質問 → 共感 → 自分の一言 → 再質問」
という流れです。
例えば、
「休日は何をされていますか?」
「最近はゴルフですね」
「ゴルフですか。私も以前やっていたんですが、なかなか練習する時間が取れなくて。どのあたりのコースに行かれることが多いんですか?」
このように、自分の話をほんの少し挟むことで、尋問のような印象を避けられます。
重要なのは、自分の話を長くしないことです。
目安としては、
相手7:自分3
くらいがちょうどいいでしょう。
6.「趣味」よりも「最近ハマっていること」を聞く
実は、「趣味は何ですか?」という質問は少し難しい質問です。
相手が「特に趣味はない」と思っている場合、そこで会話が止まってしまうからです。
そこで、
「最近、何かハマっていることはありますか?」
という聞き方が便利です。
例えば、
「最近、朝に散歩するようになりまして」
「休日は料理をしています」
「動画を見るくらいですね」
「子どもと公園に行っています」
など、趣味とは呼ばないような話題も出てきます。
そこから、
「朝の散歩、いいですね。何時くらいに歩かれるんですか?」
などと展開できます。
つまり、「趣味」というカテゴリーを聞くのではなく、「最近の生活」を聞くのです。
7.相手の温度感を見極める
アイスブレイクで最も重要なのは、話題そのものよりも相手の反応です。
例えば、
「ゴルフがお好きなんですね」
と聞いたとき、
「ええ、まあ……」
と短く返ってきたなら、その話題にはあまり関心がない可能性があります。
逆に、
「そうなんですよ! 最近○○コースに行きまして……」
と話が続くなら、興味のあるテーマです。
この違いを見ながら、
食いつきが良い話題は少し深掘りする。
反応が薄い話題はすぐに切り替える。
これが基本です。
8.最終的には「趣味」から「仕事」へ自然につなげる
アイスブレイクの目的は、雑談を盛り上げることではありません。
商談を始めやすい空気をつくることです。
例えば、
「最近、朝に散歩されているんですね」
「そうなんですよ。最近ちょっと運動不足で」
「分かります。私もデスクワークが多いので……。そういえば、御社では最近、働き方について何か変化はありますか?」
このように、雑談から仕事へ自然に移行できます。
あるいは、
「最近、旅行に行かれたんですね」
「はい、久しぶりに家族で行きまして」
「いいですね。最近は皆さん、仕事とプライベートのバランスをどう取るかという話も多いですよね。今日はそのあたりも含めて、弊社からご提案できればと思っています」
このように、雑談を商談の本題への「橋」にするのです。
■良いアイスブレイクは「盛り上がらなくてもいい」
商談のアイスブレイクというと、「何か面白い話をしなければ」と考えてしまいがちです。
しかし、必ずしも大笑いする必要はありません。
むしろ、
・相手が答えやすい
・意見の対立が起きにくい
・相手が話したければ深掘りできる
・無理に誘う流れにならない
・自然に仕事の話へ戻れる
という条件を満たしていれば十分です。
特に意識したいのは、
「共通点を探す」より「相手が話しやすい場所を探す」
という考え方です。
趣味が一致しなくても問題ありません。
ゴルフが好きな人とゴルフをする必要もありません。
麻雀が好きな人と卓を囲む必要もありません。
相手の話を否定せず、少し興味を示し、相手が話したい分だけ話してもらう。
そのくらいの距離感のほうが、ビジネスの場ではむしろ心地よいものです。
アイスブレイクの成功とは、「雑談が盛り上がったこと」ではなく、「本題に入りやすい空気ができたこと」。
この原則を押さえておけば、趣味の話は商談における非常に強力なコミュニケーションツールになります。



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