「ハンズ」から学ぶ、VUCA時代を生き抜くための組織変革とは?
- LAPIN PDG
- 9月4日
- 読了時間: 3分

1.硬直した「縦割り」組織の末路
近年、「ハンズ」という名称から「東急」が消え、「ハンズ」として新たな道を歩み始めました。これは単なる商号変更ではなく、長らく続いた親会社である東急グループの傘下から離れ、外部資本を受け入れるという大きな変革でした。なぜ、かつては独自路線で成功を収めていたハンズが、このような決断を迫られたのでしょうか。
その根底には、親会社の東急グループが抱えていた「縦割り」の硬直した経営体制が深く関係しています。各事業部門が独立しており、互いの連携が希薄な状態では、市場の急激な変化に対応できません。例えば、東急グループは百貨店、スーパー、交通、不動産など多岐にわたる事業を展開していますが、それぞれの部門が自社の利益を優先し、全体最適を追求する動きが乏しかったと考えられます。
このようなサイロ化した組織では、顧客のニーズが多様化し、競合他社が異業種から参入してくるVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代において、迅速な意思決定や新しい価値創造は困難です。結果として、ハンズの強みであった「お客様を飽きさせないユニークな品揃え」や「プロフェッショナルなスタッフによる接客」といった価値が、グループ全体の利益構造の中で埋没してしまったのかもしれません。
2.新しい資本のもとで目指す「共創」
ハンズは今、カインズを擁するベイシアグループの一員として、新たな道を歩み始めています。この変革の根底にあるのは、硬直した組織構造を解体し、「共創 の文化を築くことです。カインズはホームセンター事業を中心に、デジタル技術を活用した顧客体験の向上や、プライベートブランド商品の開発に力を入れており、そのノウハウはハンズが抱えていた課題を解決する大きな鍵となるでしょう。
具体的には、以下のような変革が期待されます。
・データと技術の共有
ハンズとカインズの購買データを統合・分析することで、より精度の高い商品開発やマーケティング施策が可能になります。
・サプライチェーンの効率化
両社が持つ物流網や仕入れルートを連携させることで、コスト削減と供給の安定化が図れます。
・人材の流動化
異なる文化を持つ両社の社員が交流し、互いの強みを学び合うことで、新たなイノベーションが生まれる土壌が育まれます。
これらの取り組みは、部門間の壁を超えて情報を共有し、協力して価値を創造するという、現代の企業に不可欠な姿勢を示しています。
3.あなたの組織は「ハンズ化」していないか?
ハンズの事例は、私たちビジネスパーソンにとって、自社の組織を見つめ直す良い機会を与えてくれます。あなたの会社や部門は、縦割りによる弊害に陥っていませんか?
・意思決定に時間がかかっていませんか?
・他部署の業務内容や目標を理解していますか?
・新しいアイデアや提案が、部門間の調整で立ち消えになっていませんか?
VUCA時代に生き残るためには、「個の力」を最大化するだけでなく、「組織としての連携力」を高めることが不可欠です。ハンズが歩み始めた変革の道のりは、硬直した組織が外部の力を借りてでも変わらなければならないという強いメッセージを発しています。あなたの組織も、今こそ変革の第一歩を踏み出す時かもしれません。
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