【Z世代の恋愛トレンド】「スローニング」が映し出す、承認欲求とコスパ重視のリアル
- LAPIN PDG
- 3 日前
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近年、Z世代(概ね1990年代中盤から2010年代初頭に生まれた世代)の恋愛観は、上の世代とは一線を画す新たなトレンドを生み出しています。その一つが、「スローニング(Sloaning)」と呼ばれる傾向です。
このスローニングという現象を深掘りすることで、現代社会で育ったZ世代が恋愛に何を求め、どのような価値観を持っているのかを考察します。
■恋愛トレンド「スローニング」とは?
「スローニング(Sloaning)」は、「Status(ステータス)」と「Loaning(貸し借り)」を組み合わせた造語で、相手を自分のステータスの一部として扱い、その関係性を通じて自身の承認欲求を満たそうとする恋愛傾向を指します。
まるでゲームのアイテムのように、「自分と付き合うことで、相手のステータスが上がる」、あるいは「ステータスの高い相手と付き合うことで、自分の価値が上がる」といった意識が根底にあります。
■スローニングの主な特徴
1.相手の「ステータス」を重視する
外見、職業、経済力、学歴、SNSでの影響力(フォロワー数など)といった、他者から見て分かりやすい社会的ステータスを恋人選びの重要な要素と見なします。これは、相手が自分の価値を高めてくれる「アイテム」のように機能することを期待するためです。
2.承認欲求の充足が目的の一つ
恋愛関係を築くことで、友人やSNSのフォロワーからの「いいね」や羨望といった外部からの承認を得ようとします。真の愛情や深い精神的な繋がりよりも、「この人と付き合っている自分」というイメージを消費し、自己肯定感を高める手段として恋愛を利用する側面があります。
3.「内」と「外」での対応の違い
人前やSNS上では理想的なカップルを演出しようとしますが、内面では相手を道具のように扱ったり、関係に労力を割かなかったりするといった、「外向き」と「内向き」の態度の乖離が見られることもあります。
■スローニングから考察するZ世代の価値観
なぜZ世代の間でスローニングのような恋愛傾向が生まれるのでしょうか。それは、彼らが育ってきた現代社会特有の環境と価値観が色濃く影響しています。
1. 競争社会と承認欲求の強さ
Z世代は、幼い頃からインターネットとSNSに囲まれ、常に他者からの評価に晒される環境で育ちました。SNSでは、個人の生活や価値が視覚化され、「いいね」やフォロワー数といった数値で分かりやすく評価されます。
このような環境下では、「自分の価値は、他者からの承認によって測られる」という感覚が強まりがちです。恋愛においても、「素敵な恋人」を持つことが、自分の人生の「成功ステータス」の一つとなり、それを他者に見せつけることで承認欲求を満たそうとします。
2. 「タイパ(タイムパフォーマンス)」と「コスパ(コストパフォーマンス)」の重視
Z世代は、情報過多の時代において、「いかに効率よく、時間や労力をかけずに最大の成果を得るか」というコスパ・タイパの意識が非常に高い傾向にあります。
恋愛においても、失敗や面倒なプロセスを極度に避けたいという心理が働きます。
・プロフィール重視の出会い
マッチングアプリの利用が一般的となり、外見や条件といった分かりやすい「スペック」で効率的に相手を選別しようとします。
・不確実性への恐怖
恋愛に必要な対人スキル(相手の気持ちを察する、衝突を乗り越える)の習得機会が減少し、失敗や傷つくことを極度に恐れる傾向があります。そのため、恋愛に時間や感情を費やすことを「コスパが悪い」と感じ、最初から「成功(=承認欲求が満たされる)」が確約された相手を選びたいという心理がスローニングを後押しします。
3. リアルな繋がりよりも仮想的な満足
デジタルネイティブであるZ世代は、オンラインゲームやSNS上の交流で十分な満足感を得られるため、わざわざ手間のかかる「リアルな恋愛」を求めない人も増えています。
スローニングは、恋愛関係を築きながらも、相手との精神的な深いつながりよりも、「恋人がいる」というイメージやステータスといった仮想的な満足感を優先する、現代的な消費行動の一つとも言えるでしょう。
■まとめ
スローニングは、Z世代が抱える承認欲求の渇望と、効率性・合理性を追求する価値観が交差した、現代特有の恋愛トレンドです。
しかし、スローニングという言葉が注目される一方で、Z世代の多くは「心の安らぎ」や「一緒にいて安心できる精神的な繋がり」を求めているという調査結果もあります。
ステータスを追い求めるスローニングの裏側には、デジタル社会で失われがちな「本当に大切な心の繋がり」への渇望が隠されているのかもしれません。彼らの恋愛観は、社会の急速な変化と価値観の多様化を映し出す、興味深い鏡と言えるでしょう。
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